情報や物に溢れる現代において、流行や消費者の嗜好は常に移り変わるため需要予測も容易ではありません。そのため、過剰在庫になりやすい時代であると言えます。どうすれば在庫を効率的に削減することができるのでしょうか。シリーズ第3弾となる今回は、在庫の削減方法をテーマに掲げ、定期発注方式の説明と在庫を削減させるメソッドをご紹介します。また在庫削減を実現可能なシステムの提案まで触れていきます。
・定期発注方式とは
・定期発注方式のメリット
・定期発注方式のデメリット
・安全在庫量の計算式と在庫調整期間
・発注量の計算式と在庫調整期間
在庫の削減を行う方法
・調達リードタイム(LT)の短縮
・ダブルビン方式の採用
・効率的な在庫削減を実現するために
・自社に相応しいシステムの導入を
・まとめ
在庫を削減することは、資金効率の向上やキャッシュフローの改善にも寄与します。前回のシリーズでは定量発注方式に関して説明を行いましたが、今回はもう1つの発注方式である定期発注方式の基本からメリットやデメリット・計算式などの解説を行います。
定められた発注で同じ数量を計算し発注する方式のことを、定期発注方式といいます。この発注方式は、必要な数量や現在保有する在庫量により、その都度発注量を計算します。発注量には常に変化があり、その都度・その状況に応じて発注量を定めるという特徴があります。ストックすべき安全在庫を下回らない発注周期を定め、最大在庫まで発注を行うことができます。
定期発注方式のメリットとして、精度の高い在庫管理が可能であること・需要の変化に対応可能なことが挙げられます。予め発注日や入庫日が定められていることから、業務プロセスを構築しやすく、発注忘れなども防げます。一定期間で数量を指定しての発注が可能なため、過剰在庫の際には発注量を減少させ、過少在庫の際には発注量を増加させると良いでしょう。過剰在庫や過少在庫を出来る限り減少させることにより、結果として在庫の削減につながります。
正確な在庫数の確認とニーズ予測を行った上で発注量を計算しなければならないため、時間と手間がかかります。ケース次第では、予想以上に時間と手間を使ってしまう恐れも考えられます。この他にも最低発注単位が定められていたり、配送料の関係で最適な量の発注が不可能なこと・発注サイクルや調達リードタイムが長いと、安全在庫が増加する可能性もあるのです。
定期発注方式における発注量は、定められた発注間隔のもと、毎回数量を計算して発注します。発注量の計算式は、以下のように求めることができます。
◇発注量=(発注間隔+調達期間)×使用予定量+安全在庫-現在の在庫量-現在の発注残
ニーズの変化から在庫の欠品が起こることのないよう、必要な在庫量と安全在庫の量を計算する必要があります。定期発注方式での安全在庫数は、以下のように求められます。
◇安全在庫数=安全係数×需要数の標準偏差×√(+発注間隔)
上記の方法以外で人件費を掛けずに、よりスムーズな方法で在庫削減を実現したい場合には、スマートリールラックシステム(後述)の導入も検討する必要があります。
過剰在庫は、企業に大きな影響をもたらします。場合により商品価値の低下やキャッシュフローの減少・業務効率の低下や収益の悪化などの原因を生む恐れもあります。これらの問題を解決するには、以下2つの対策のもとに在庫の削減を行う必要があります。
在庫の削減には、在庫調整期間の短縮が有効と考えます。在庫調整期間とは、「発注サイクル+調達リードタイム」の期間のことをいいます。発注サイクルとは、発注してから次にサイクルまでの期間のことであり、調達リードタイムとは発注してから納入されるまでの期間をいいます。この頻度を上げることにより、1回の購入量を減らすことができ、在庫量の削減も可能となります。しかし、在庫の確認頻度も上げなければいけないので煩雑になります。
1つの在庫に対し、2つのスペースを設置して管理を行う発注方法のことを、ダブルビン方式といいます。定量発注方式の簡易版であり、2つのスペースのうち、一方のスペースは常に在庫が補充されている状態を保ち、もう一方のスペースから在庫を出庫することで在庫不足を防ぐ方法です。
この方式は管理しやすいという利点がありますが、1スペース分の在庫量を補充するのに必要な期間として、使用分量以上を定めておく必要があります。比較的使用量も多く、払い出しが安定していて品質低下の少ない、単価の安い小物類に適しています。
上記2つの方法から在庫の削減を行うよりも、業務効率をさらに向上させる方法を模索する際に、選択肢の1つとしてスマートリールラックが挙げられます。このシステムを導入することにより、在庫スペースを大幅に削減できるだけでなく、在庫の確認も楽になります。それにより、実装工程での生産効率も、格段に向上させられます。
在庫を多く抱え過ぎてしまうのは、過剰発注が原因です。正確な需要の予測ができていなかったり、実際に保管されている在庫数を把握しきれていない場合に、過剰発注が引き起こされます。これらの問題を解決するためには、適切なシステムの導入が必要です。
在庫の削減を達成したい場合には、在庫管理システムを活用することで在庫管理の最適化を実現できます。リールの種類を問わず入出庫可能なスマートリールラックを導入すると、さまざまなリールを管理できるようになり、倉庫面積そのものを削減することにも寄与します。過剰在庫からその後発生しやすい多くの問題も、同システムを活用することで問題を解消できるだけでなく、コストの削減にも役立ちます。
定期発注方式にメリットがあると同時に、デメリットにも目を向けることが大切です。
定期発注方式における計算式は、担当者により計算ミスが日常的に発生する恐れもあります。こうした人的ミスを防ぐためには、先述のようなシステムの導入を検討する必要があります。常に効率と正確さを求める企業にとって、貢献度の高いシステム設計となっています。