過剰在庫の状態になると発注は減少し、過少在庫になるほど増加するように、発注と在庫は、相関関係にあります。経済的発注量も同様に、発注と在庫いう関係から成り立ちます。在庫管理の果たす役割は大きく、現在は在庫管理をスマート化できるラックも登場しています。
今回は在庫管理・発注管理の一般論シリーズの第2弾として、在庫管理方式の1つである定量発注方式に関する説明とそのメリットやデメリット、経済的発注量などに関して解説します。在庫管理システムの導入をご検討されている方も、ぜひ本記事を参考にされてみてください。
在庫管理の方式には、2種類の管理方法が存在しています。1つ目は定量発注方式、2つ目は定期発注方式です。本記事では前者にあたる定量発注方式から、説明していきます。
JISによると、定量発注方式の定義は、「発注時期になるとあらかじめ定められた一定量を発注する在庫管理方式である」とされています。発注点手法ともいわれ、ROP(Re-Order Point)やOP(Order Point)などと表記されることもあるものです。定量発注方式に向いている在庫として、安価で重要度が低く、供給が安定しているものが相応しいとされています。この発注方式は発注量に変化がなく、予備品やリーズナブルな小物類というような、需要と供給のバランスのとれた製品に活用されやすい傾向にあります。このような背景から定量発注方式は、一定の在庫量を保つために最適な発注方式であると言えるのです。
発注の際の手間が不要で、業務を効率化させられるのが、定量発注方式のメリットです。先述のように発注量に変化がないため、ニーズの予測を行いながら発注量や発注時期を自動化させることができます。例えば多くの原材料や商品に定量発注方式の割合を増やすことで、発注の手間を大幅に削減し業務効率化を促進させられます。
発注量が毎回同じであるので、社会情勢や季節の変化などにより需要に変動が起こると、過剰在庫や在庫切れのどちら側にも傾く可能性があります。また調達期間の長いものには不向きであり、運用がルーズになりがちというデメリットもあります。
在庫の量が発注水準に達することを、発注点といいます。定量発注方式では、予め発注点を定めておきます。そのため、発注の際の手間がかかりにくい発注方式であると言えます。定量発注方式で発注点と発注量を正確に定めることは、とても大切なことです。発注から入荷までの期間の在庫が維持される状態の数量であることは、発注点を定める上で必須事項となります。定量発注方式における発注点の計算式は、以下のように求められます。
◇「1日あたりの平均使用量×リードタイム+安全在庫」
続いて定量発注方式における発注量の計算式は、以下になります。
◇「経済的発注量=√(2×1回あたりの発注費用×年間必要量÷年間在庫保管費用)
消費のばらつきなどで在庫切れを起こさないようにするための在庫のことをいいます。安全在庫は、発注点の計算を行う上でも、重要です。安全在庫の計算式は、以下の方法で求められます。計算式内の安全係数とは、欠品をどれくらいまで許容可能であるのかという数値のことを指します。
◇「安全在庫数=安全係数×需要数の標準偏差×√(発注感覚+納入リードタイム)」
一定の期間内での年間発注費用と年間在庫費用の合計額が最小化される発注量のことを経済的発注量といい、経済的ロットサイズと呼ばれることもあります。経済的発注量は、年間発注費用と年間在庫費用の合計費の最小となる1回あたりの発注量より求められます。ここからは、経済的発注量の計算式に関する説明を行います。
年間発注費用の計算式は、以下のように求められます。
◇「1度あたりの発注費用×年間発注回数」
年間在庫費用の計算式は、以下のように求められます。
◇「1つあたりの在庫維持費×年平均在庫量」
上記2つの費用を、「年間発注費用=年間在庫費用」として計算を行うことにより、経済的発注量を導き出すことができます。
定量発注方式において特に重要なこととして、経済的発注量を意識して、在庫量の把握を行いながら発注のタイミングを逃さないことが挙げられます。経済的発注量などの求め方は、計算式により求められます。けれども毎回計算式を使用することは、時間も手間もかかるため、業務効率という観点から得策ではないと言えます。このような課題を解決するためには、スマートリールラックのような、業務効率化を促進するシステムの導入が必要です。
在庫を常に最適なタイミングで把握したいと考える企業の方も多くいらっしゃるはずです。スマートリールラックは、このような企業の方の声を形にしたシステムとなっています。例えば入庫日の古いリールからLED点灯するため、業務の効率化を実現できます。またリールの必要数をシステムに登録すると、必要な数量を下回った際に、自動的に出庫リストの生成を行うことも出来、コストの削減に寄与します。