本記事では、「品質は上流より造りこむ!」をモットーに60年以上にわたる豊富な経験と高い技術力を持ち、福島県に本社を構える特殊精機株式会社様のスマートリールラック®導入事例をご紹介します。高密度・高精度なSMT実装〜完成までを手がける特殊精機様の那須工場で、実際の運用に関わる社員の皆様にお話を伺いました。
スマートリールラック®は、電子部品収納ラックをデジタル化し、ラックに個々の電子部品位置情報を持たせることで、従来のリール管理の作業性を大幅に向上させる新しいラックシステムです。
スマートリールラック®は、入出庫対象電子部品リールの場所をLEDが点滅することで快速入出庫を可能にし、これまで時間を要していた入出庫作業時間を短縮できます。また、電子部品リールのデータをシステム管理し、先入れ先出し(FIFO)をサポートします。加えて、フリーロケーションで入庫できるため、倉庫省スペース化にも貢献します。
▼スマートリールラック®の使用イメージが分かる動画はこちら
ーーーさっそくですが、スマートリールラック®の利用を考えたきっかけを教えてください。
(髙田様)
私が担当している部材管理部門のカイゼン活動の一環で、「既存のリールラックをもっと効率化できないだろうか」と考えていたのが導入のきっかけです。
もともとお客様ごとにカゴで分けてみたり、部品が細かく分かれている場合はラベルを貼ってみたりして、見た目でわかりやすくすることを心がけていたんです。ただ、最終的には目視で確認をしていたため、新人作業員とベテラン作業員では知識や経験の差によって作業の速さや丁寧さにバラつきがありました。
そこで、「視覚的にリールをわかりやすく区別できるラックを自分たちでつくってみようかな」なんて構想していたんです。
ーーー自作を考えられていたとは…。特殊精機様の技術力があるからこそですね!
(髙田様)
そんなときにちょうど「スマートリールラック®」を提案いただいたんです。
当時考えていた“視覚的にリールをわかりやすく区別できる”特徴を構造的にもクリアしていて、さらにLEDで直感的にリールの場所を理解できるので“わかりやすさ”も強調されていて、理想を120%以上叶えてくれそうな製品だったので「使ってみたいな」と率直に感じました。
ーーー実際に使用してみて、満足度はいかがでしたか?
(菊地様)
全体で見ても概ね満足しています。操作もあまり難しさを感じなかったので若手社員もベテラン社員も、どちらも慣れるまでさほど時間はかからなかったと記憶しています。
ーーースマートリールラック®は具体的にどのように貢献できていますか?
(菊地様)
これまでは部品が必要になった際、「ラックに部品リールを探しに行って、必要なリールを探して、見つけて、持ってくる」という流れでした。この際に、知識や経験の浅い新人作業員の場合は、リールの区別がつきづらいので、リールを探すのにどうしても手間取ってしまいます。すると、間違えて違うリールを持っていってしまったり、リールを誤って違う場所に戻してしまったりするミスも生じてしまうんです。
その点でスマートリールラック®は、ラック上の必要なリールがある場所を、バーコードを読み取るだけでLEDが点灯して教えてくれます。ひと目でリールの有無はもちろん、リールの場所までわかるので、ミスも、ミスによるロスも、そして新人作業員とベテラン作業員のピックアップ時間差もゼロになりました。
ーーー新人作業員の方とベテラン作業員の方では、もともとピックアップ時間にどれくらいの差が生じていたのですか?
(阿部様)
ピックアップ作業にかかる時間は、新人作業員の場合は1分程度です。ベテラン作業員の場合は10秒程度だったので、新人作業員はベテラン作業員の6倍ほど時間がかかっていたんです。
それがスマートリールラック®の導入によって新人作業員もベテラン作業員と同じ10秒程度で見つけられるようになりました。しかも悩まず、間違いもなく。実際にオペレーション部門だと作業をかなり効率化できていると感じています。
ーーー直感的に利用できる点は、他にどのような点で役立っていますか?
(阿部様)
感覚的にリールを取り出せることは、オペレーション側の精神的負荷軽減にも役立っていると感じています。
LEDが点灯しているものを取り出すだけでOKですし、万が一誤ったリールを取り出した場合もLEDの赤灯とアラート音が教えてくれます。そのため、余計なことを考える必要がなくなったことで、心に少し余裕を持って作業に当たれるようになりました。
(菊地様)
ヒューマンエラーのほとんどは、作業中に不要なことを考えてしまっているのが原因だと思います。スマートリールラック®によってヒューマンエラーはゼロになりました。また、それに伴って実不良も一切発生していません。
ーーー直感的にわかることが、作業環境や作業品質の改善にもつながったのですね。部材管理の観点ではいかがでしょうか?
(髙田様)
部材管理の観点では、スマートリールラック®上のどこにリールを収納してもOKなフリーロケーションが役立っています。
もともと通常のラックで管理する場合、同じお客様でも部品の量によっては棚のレイアウト調整が都度必要でした。しかしスマートリールラック®では、どこに収納をしてもよくて、取り出す際にLEDが点灯して教えてくれます。そのため、「この部品はここにしまって…」というルールを決める手間を削減できました。
また、ピッキング時には古いものから順番に教えてくれるので、先入れ先出しの自動化もできたことも嬉しいポイントのひとつです。
(菊地様)
あとは「この部品をここに入れました」なんて引き継ぎをしなくてもよくなったのもよかった点のひとつに感じました。また、引き継ぎが不要になったので交代する作業員を待つ時間も不要になって、労働時間の効率化にもつながりました。
ーーー収納力による変化はありましたか?
(菊地様)
ラックのスペース削減につながりましたね。これまで6台で管理していた複数種類の部品を、スマートリールラック®では4台で管理できています。そのため、該当の部品については従来スペースの2/3まで省スペース化(従来比1/3のスペース削減)に成功しました。1,300リールという収納能力と、フリーロケーションのため収納する場所を気にしなくてもよくなった恩恵だと感じています。
ーーー「この部分を改善してほしい」といったポイントはありますか?
(菊地様)
棚自体の高さが変えられたり、スマートリールラック®に収納・管理できるものが増えると嬉しいな、とは考えています。リール幅や特殊部品などはラックに格納できない場合もあるので。ピッキング時の仕様などはカスタマイズできると伺っているので、今後の用途に合わせてぜひ運用してみたいと考えています。
あとはラックをデジタル化する製品なので、リールをスマートリールラック®に登録する入れ込み作業分の手間が発生する点や、センサーの感度に気をつけなければならない点はありますが、総合的には効率化に成功しているので満足しています。
ーーースマートリールラック®で独自の使用方法をされているとお聞きしました。よろしければ利用方法を教えていただけますか?
(菊地様)
たとえば弊社では、スマートリールラック®に空のリールを格納して、それに別の場所で保管している部品を紐付けて、スマートリールラック®で管理できない部品も擬似的にデジタル管理する仕組みを試みています。
吸湿素材など、防湿庫に置く必要があるものはラックでの通常管理はできないので。該当部品が必要になった際に、バーコードを読み取って取りに行ったオペレーターが空リールを見つけて、空リールに記載されている格納場所に取りに行ってもらう仕組みです。
他の部品と混同されず、他の部品と同じように直感的にリールを取りにいけるため、現状はうまく機能しています。
ーーー今後、スマートリールラック®をどのように活用していきたいですか?
(菊地様)
現在は暫定的に固定製品の一括生産用に使用していますが、知識や経験値をより一層必要とされるような多品種小ロットの実装にも使用してみたいと考えています。
運用をしてみて、複雑な作業を必要とされる場面で、直感的に作業できることの恩恵を感じているからです。実際に、余計なことを考えず作業に集中できるため、オペレーターの精神的負担はだいぶ減っているように思います。
デジタルへの移行で少し手を動かす必要もありますが、作業効率の改善はもちろん、オペレーターの負担軽減やそれに伴うミス・ロス“0”の実現など、全体でみると大きく作業品質の改善を進められたのかなと感じています。
ーーーありがとうございました。
特殊精機様は、部材管理システムの導入など、かねてより作業効率の改善に積極的に取り組まれていました。そんな中で、スマートリールラック®がさらなる作業品質の向上に貢献できたことを嬉しく思います。
今回スマートリールラック®導入によってもたらされた効果は下記の通りです。
<スマートリールラック®導入効果まとめ>
★直感的運用で、ピッキングミス・ロス・作業員間の経験差“0”を実現!
★フリーロケーションとLED点灯による作業簡易化で作業ストレスの軽減に貢献。
★通常ラックに比べて1/3のスペース削減にも成功。
スマートリールラック®は導入後、運用状況に応じてラック追加及びソフト改修(機能追加)が可能です。そのため投資額を抑えたSmall Startをご希望のお客様に多くのご好評を頂いております。
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また本事例の内容をまとめた動画もご覧頂けます。2分程の動画となっておりますので、是非お気軽にご覧ください。