在庫量の重点管理を行う代表的な方法として、ABC分析があります。
ABC分析における考え方は大変シンプルなものであり、在庫の管理や製品の把握を行う際に活用可能で企業経営において重要な分析法でもあります。
在庫管理・発注管理の一般論シリーズ最終章となる今回は、ABC分析とは何かという事に関して解説を行います。
ABC分析のメリットやデメリット、ABC分析を行う際の3つのステップや注意点・ABC分析に効果的な在庫管理システムの提案までご紹介します。在庫管理システムの導入にお悩みの方も、ぜひ本記事を参考にされてみてください。
在庫やコストといった指標をもとに、ランクごとに分類を行い、優先順位を定めて管理する分析法を、ABC分析といいます。はじめに、ABC分析の思考法における説明から、そしてABC分析を取り入れるメリットとデメリットに関するお話をしていきます。
ABC分析の基本的な考え方は、全在庫品について一律で同じ管理は行わないということに基づいています。ABC分析には、在庫の20%が在庫総額の80%を占める前提とする考えがあります。
ビジネスシーンでの具体的な活用事例として、上位20%の商品で売上げの80%を占めるケースや、上位20%の顧客で売上げの80%を占めるケースなどが挙げられます。
ABC分析には、製品・サービス等の重要度を視覚化可能であるというメリットがあります。製品情報を正確に把握することで、企業経営やマーケティングにおける戦略に役立てられます。
ABC分析を行う方法によっては煩雑になり、ヒューマンエラーを起こす恐れも考えられます。また人材不足から担当者が限られてしまうような企業では、人的ミスの慢性化も大きなデメリットとなります。
このようなトラブルを抱えないためにも、最適な在庫管理システムの導入等、早期の段階で対策をとる必要があります。
ABC分析は、企業を経営する経営者の方や、マーケティング戦略を行う企業の方にとって欠かせない分析法でもあります。ABC分析を実際に行う際には、以下3つのステップを踏む必要があります。ここではSTEP1からSTEP3まで、順に触れていきます。
ABC分析に必要となるデータを収集することからスタートします。データを集めることができれば、エクセルを活用した分析も可能となります。例えばスマートリールラック（後述）のように、在庫管理システムでデータを収集することなども最適です。在庫管理システムには、データを抽出する機能が備えられているケースが大多数であり、求める在庫情報を集める場合に大変便利です。
全体に占める各製品の売上げの割合が大きいほうから分類していく方法が、ABC分析です。そのため、まずは製品ごとの売上げの割合を計算します。期間を定めて各製品の売上げを、全体の売上げから割ると、売上割合を算出できます。
（引用元：https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01618/00007/）
各製品の売上割合を計算したところで、割合の大きいほうから並べ替えていきます。（パレート図と言います。）並べ替えたところで、累積割合を計算します。この累積割合の数値をもとに、「ABC」の3つのグループに分類を行います。ABC分析には、これら3つのステップが必要となるのです。
重要な情報を分析することができるため、ABC分析は経営やマーケティングにおいて広く活用されています。しかし、分析さえこなせば良いということでもありません。以下のようにABC分析には、注意しなければならないポイントがあります。
ある一定の期間だけに売れる一過性の製品には、注意をする必要があります。これは定番商品のラインナップに限らず、一定の期間のみ売上げの伸びる製品も多くあるためです。
代表的な例を挙げると、トレンドや流行などで急激に売上げの伸びる製品などのことであり、この一過性製品を無視してABC分析を行うと、正確な分析をすることが難しくなります。そのため、ABC分析を行う際には全体の分析結果と一過性製品の分析結果とに分け、合計2回計算を行うことが望まれます。
また一過性製品の需要が安定することにより、定番ラインナップとなり得る可能性に関しても、覚えておくと良いでしょう。
ABC分析結果は、以下のようにランクごとに分類を行い、ランクに合った発注方式を取り入れます。個々に異なる発注方式となっているのも、ABC分析結果を活用する上での特徴であると言えます。1つひとつチェックしていきましょう。
ABC分析結果の活用法として、例えば売り上げの20%を占める製品をA品目として重点管理し、欠品にならないよう在庫量を最小とするように管理することを目指しています。そのため、発注量の調整を行える定期発注方式を使用することが最適であるということになります。
売上げへの影響がA品目よりも下がるため、管理レベルを下げます。そのため、定量発注方式を取り入れることが適切です。B品目の注意点として、製品が高単価である場合には、定期発注方式を採用するようにします。
B品目と同様に、売上げへの影響がA品目よりも下がるので、管理の効率化を図る定量発注方式に向いています。この他、ダブルビン方式もC品目として適切であり、ダブルビン方式を活用することにより発注時期や数量を把握することができます。
ABC分析では省人化や、実装工程における総合的な生産効率を向上させたいと考えるときに、在庫管理システムの導入が最も効果的であると言えます。
スマートリールラックを活用すると、トータル生産効率の向上や省人化にも寄与するため、人為的なミスを防ぎながら効率的なコストの削減に役立ちます。またリールの種類を問わず入出庫可能であるので、在庫スペースだけでなく、倉庫面積も削減が可能です。